□西日本シティ銀行「沖縄クルマエビ・ウナギ事業」(6)
■うま味成分の含有量向上に成功
シャコは全体のうち、食べられる可食部分が約半分といわれる。残りの食べられない部分は頭や殼、付着肉などだ。ボイルシャコを製造するため、むき身にすると大量の廃棄物が出ることになり、処理にはコストも当然かかる。廃棄資源のリサイクル活用ということからも、殼など廃棄物の有効活用は大きな課題でもあった。
福岡県水産海洋技術センター内水面研究所の協力を得ながら、西日本冷食はシャコ殼を使った餌でウナギの飼育に取り組んだ。実験データを分析したところ、青魚などを使った一般的な配合飼料で育てたウナギに比べて、うま味成分であるアミノ酸の含有量が高いウナギを育てることができた。
西日本冷食では、飼料開発に加え、適切な給餌法や水温管理など飼育ノウハウも研究。試行錯誤を繰り返し、2013年には養殖技術と配合飼料について特許を申請した。これで事業化のめどが立った。
西日本冷食の子会社、西日本水産の宮崎厚樹社長は「事業の立ち上げを考えているとき、西日本シティ銀行から、農林水産省が関連するファンドの活用について提案をいただいた。そのファンドを利用できれば、われわれのような新規企業でも対外的な信頼度が向上する。事業計画の作り込みなどで担当者に本当にお世話になった。資金面だけでなく経営面に関しても多くのアドバイスをもらい、感謝している」と話す。