東京電力は28日、山梨県大月市の葛野川(かずのがわ)揚水式発電所4号機(出力40万キロワット)を報道陣に初公開した。東日本大震災前、計画を先送りしていたが、震災後の電力不足を受け、突貫工事で完成させた。2月から試運転に入り、6月に営業運転を始める。今夏の需要ピーク期を乗り切るための「最新鋭機」だ。
揚水式発電は、高低差のある2つのダムをつくり、電力需要が少ない夜間に下のダムから上のダムに水をくみ上げ、電力需要が高まれば下のダムに放流して発電する。原子力や火力発電に比べ出力調整しやすく、需給の変動に応じて短時間の稼働を繰り返す。
葛野川発電所のダム高低差は714メートルと揚水式では世界最大だ。1、2号機(各40万キロワット)の稼働は1999~2000年。3、4号機は電力需要の伸び悩みから工事が中断されたが、震災後、4号機の建設が再開された。この日、4号機は直径4.6メートル、重さ50トンの水車を回転させて試運転した。東電の揚水式発電所の総出力は約770万キロワットと北海道電力の全発電設備(総出力約750万キロワット)を上回る。