■眼鏡のように着用、自動で焦点
スポーツ観戦や観劇などに利用できるハンズフリーの双眼鏡「カブキグラス」が、静かな人気を集めている。開発したのはサンテプラス。昨年3月の発売以降、眼鏡のように両耳にかけて使用するデザインが「使いやすい」と話題となって人気を集め、今ではプロ野球チームや歌舞伎など観劇の現場でも利用され始めている。
坂田直明社長が開発したきっかけは、大手電機メーカーの社員として赴任したロシアで盛んなバレエに魅せられ劇場に通い詰めた経験だった。
鑑賞では、オペラグラスと呼ばれる双眼鏡を利用するが、両手がふさがることや、ピント調整に手間がかかることなどに不満を持っていた。「ストレスを感じずに良い席で見たときの感動を味わえるオペラグラスを作りたい」という思いから、2011年5月にカブキグラスの開発をはじめた。
最大の特徴は、眼鏡のように着用する「ウエアラブルなデザイン」。両手が自由になることに加え、手ぶれを無くした。
装着感へのこだわりも徹底している。重さを92グラムに抑え、まつげがレンズに当たらないよう目当てを取り除くなど従来の双眼鏡の概念を覆した。クリアな視界を実現するため、内蔵レンズは全てガラス素材に統一。人の視線に自動で焦点を合わせる技術を取り入れるなど、機能へのこだわりも追求した。
開発には2年間をかけ、取得し、申請した特許の項目数は20を超えた。フレームと双眼鏡の一体化にも工夫を凝らし、頑丈に接合するだけでなく全ての人に使いやすい形にした。
ブランドは文字通り日本の伝統芸能「歌舞伎」にちなんだ。「日本の技術を結集させたオペラグラスを世界に普及させたい」という思いを込める。