電力小売りの全面自由化が2016年に予定される中、都市ガス小売りの全面自由化の開始時期をめぐり、業界関係者から慎重な意見が広がっている。保安体制の維持や経営体力の格差などへの懸念があるからだ。一方、電力業界は、電力とガスの自由化時期の足並みがそろわない場合、「都市ガス業者に一方的に市場を開放することになる」(関係者)と、不公平感を募らせる。
「自由化を同時にやならなければならない理由はない。少し時間が遅れても構わない」
日本ガス協会の尾崎裕会長(大阪ガス社長)は14日の会見でこう言い切った。
電力と都市ガスの小売り全面自由化は、地域独占の排除で事業者間の競争を促し、料金の引き下げやサービス多様化につなげるのが最大の狙い。東京電力と東京ガスは16年に互いの業界に参入する方針を表明している。
しかし、尾崎会長は「利用者の設備の保安への関わり方は、ガス事業者は電力事業者よりも大きい」と主張。「保安レベルを下げない、事故を起こさないという前提で自由化に進まなければいけない」と語った。