建設業界で起きている深刻な人材不足を解消するため、政府は外国人と女性の活用拡大にかじを切った。ただ型枠工や鉄筋工といった建設現場を支える技能労働者は、主に大手ゼネコンの下請けとなる中小企業が供給。地場企業を除くと、一つの現場が終われば別の現場へ移る働き方も多い。男女とも結婚・出産といったライフイベントとの両立は難しく、若手が就職しにくい一因ともなっている。働き方の根本からの見直しが課題となりそうだ。
「25歳定年制」
「ハンドルはそんなに重くないので大丈夫です」。東京都稲城市の土地造成現場で巨大なショベルカーを操る大崎友里さん(30)。中堅ゼネコンの水谷建設(三重県)の社員で、宮城県立高校の普通科を卒業後に入社して以来、重機を操るオペレーターとして活躍する。
建設会社を志したのは就職活動中、重機を操る女性を取り上げたテレビ番組を見て「カッコイイ。運転したい」とあこがれたから。入社して重機を扱う資格を取得し、その後は全国各地の建設現場を数カ月~1年単位で転々とする生活が続く。現在は大成建設が手がける住宅整備工事の現場で働く。十数キロもの資材を抱えることもあるが「現場が大好き。仕事でいろんな場所に行けると思えば苦にならない。もっと技術を磨きたい」と目を輝かす。