【視点】編集委員・松岡健夫 開放特許で中小企業を元気に (1/2ページ)

2014.5.13 05:00

 ■大企業の「知」で脱下請け

 ニッポン株式会社の稼ぐ力が落ちている。為替相場は円安が続いているのに、輸出が伸びない。生産の海外移転もあるが、日本製品の国際競争力が落ちているからで、2013年度の貿易赤字は13兆7488億円と過去最悪だ。ニッポン株式会社の復活には、新たな稼ぎ手の登場が不可欠で、政府も起業支援・中小企業の活性化に力を注ぐ。そのための有力手段になり得るのが開放特許で、その周知と活用が急がれる。

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 開放特許とは、大企業が保有する特許を中小・ベンチャー企業にライセンス契約や譲渡など有償で提供。中小企業は、大企業の知的財産を使うことで、時間やコストをかけずに新製品を開発できる。中小企業といえば、下請け部品メーカーとして大企業から送られてきた図面をみながら作るのは得意でも、独自製品の開発は不得手。開放特許は「脱下請け・自社ブランドづくり」を目指す中小企業にとって第2創業をもたらす有力な武器になりうる。

 自治体も地元企業と大企業の連携を図る知財交流に積極的だ。開放特許を使った両者のマッチングで先行するのが川崎市。07年にモデル事業としてスタート、富士通や東芝、日産自動車など川崎市に研究開発・生産拠点を置く大企業が中小企業への技術移転に応じている。これまでに成約したのは17件、うち12件が製品化にこぎつけた。

 今年も4月16日に川崎市産業振興会館で「川崎市知的財産交流会inビジネスリゾート2014」を開催、同交流会を通じてライセンス成約に至った中小企業2社が体験談を披露した。

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