政府は4日、外国人労働者を幅広く受け入れる検討に本格着手した。まずは公共事業の増加と東京五輪に伴う建設ラッシュへの対応で、人手不足が深刻な建設業界を対象に緊急対策を決定。今後は介護や家事支援、農林水産業や製造業など経済界全般への拡大に向けた検討を急ぐ。日本の産業構造が変化する中、経済成長に向けた外国人の活用は避けて通れない検討課題で、建設業での取り組みが受け入れ拡大への試金石となりそうだ。(藤沢志穂子)
「東京五輪までのセーフティーネットだ」
法務省は建設業を対象とする緊急対策をこう位置づけた。政府の試算では、平成27~32年度の6年間で建設業界は延べ15万人の人材が不足する。うち最大7万人を外国人でカバーする計算だ。大半は中国人やベトナム人となる見通しで、国土交通省は新たに立ち入り検査を行い、管理・指導を徹底する方針だ。
技能実習制度は新興国から研修生を招き、日本の技術を海外に移転する目的で行われてきた。ただ、「人材確保が難しい下請け企業が、日本人より低いコストで外国人を活用している」(業界団体)との指摘も少なくない。
それでも産業界からは、外国人活用を期待する声は根強い。ヤマト運輸の山内雅喜社長は「仕組みとして外国人の働ける場所を作っていかないと、日本を成長させるインフラの機能が果たせない」と話す。