2014.3.28 05:00
提言を発表する独立取締役委員会委員長の冨山和彦氏(中央右)と監査等委員会設置会社研究会座長の井口武雄氏(中央左)=7日、東京都港区【拡大】
日本企業の競争力低下が止まらない。日本の上場企業は、欧米の同クラスの企業に比べて自己資本利益率(ROE)などが低く、改善する気配も見えない。しかも、その原因は多岐にわたる。そんな中で、企業経営のあり方を最適化することにより、経営力を高めようとするアプローチが注目されている。日本取締役協会がまとめた「社外取締役・取締役会に期待される役割について」と題する提言は、社外取締役がその本来の役割である経営や経営者の“監督”としての機能を発揮することで、経営者の緊張感と業績アップに向けたプレッシャーを強め、これを原動力に企業価値の拡大を促そうというものだ。日本でも社外取締役を選任する企業は急増しているが、目下の課題は社外取締役という経営の“監督”の活躍をどう促すのか、という点だ。コーポレート・ガバナンスを通じた企業価値の向上を提唱する日本取締役協会の取り組みを追った。(青山博美)
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今月7日。日本取締役協会は、東京・浜松町の貿易センタービルにある同協会の会議室で「社外取締役・取締役会に期待される役割」と題する提言を発表した。
◆役割の明確化提言
同協会の独立取締役委員会で委員長を務める冨山和彦氏(経営共創基盤代表取締役CEO=最高経営責任者)は同日の記者会見で、「この提言の考え方の基本は、経営者の“監督”を重視した取締役会の形態である“モニタリング・モデル”です」と説明。取締役会の最も重要な役割として“経営者の評価”を挙げるとともに、社外取締役はその中核を成す役割を担う存在と位置付けた。
一方で、取締役会・社外取締役の役割は「個別の業務執行についての決定や、業務に細かい注目をつけることでもなく、また、個別の不祥事を発見することでもありません」と断言。社外取締役を選任する企業が急増するなかで、誤解の多い現状にくぎを刺した。