中国人元労働者や遺族らによる日本企業を相手にした「強制連行」に関する損害賠償の提訴は、中国で事業を展開する日本企業に対して、新たなリスクを突き付けた。「解決済み」とされてきた戦争賠償の請求問題が蒸し返された形で、被告企業がさらに増えれば産業界に困惑が広まりそうだ。
被告の1社である三菱マテリアル(旧三菱鉱業)の広報担当者は「訴状も届いておらず、現段階ではコメントできない」と言葉少なに応対する。中国側から「強制労働」に加担したと指摘されている企業も「今の段階で言えることは何もない」と、困惑を隠せない様子だ。
「強制連行」に関する提訴に関連し、中国側から被告企業として名前が挙がっている中には大手ゼネコンも含まれる。
ただ、大手ゼネコン各社は中国での事業展開には消極的とされ、東南アジアなど「中国プラスワン」と呼ばれる新たな新興国の開拓に力を入れている。