■市場は及第点 株価4.1%高
「イノベーション(革新)はソニーからという創業の精神に立ち返り、技術開発力をつけることに期待している」
ソニーがテレビ事業の分社化やパソコン事業からの撤退を発表して一夜明けた7日。ソニーOBの甘利明経済再生担当相は閣議後会見で、エールを送った。
同日の東京株式市場で、ソニーの株価は前日比4.1%高の1691円で取引を終えた。相場全体の買い安心感も支え、日経平均株価は上昇した。
メリルリンチ日本証券の片山栄一リサーチアナリストは「ソニーが初めて名を捨て実をとった」と、リポートで評価した。収益改善に向け、かつて花形だったテレビや有名ブランド「VAIO(バイオ)」のリストラに踏み切ったからだ。市場は今回の構造改革にひとまず“及第点”を与えた格好だ。
ソニーがプライドを捨てて事業再編を進める背景には、日増しに強まっていた市場からの圧力がある。
格付け会社のムーディーズ・ジャパンは1月27日、投機的水準への格下げを発表した。テレビとパソコン事業について、「厳しい競争、製品の陳腐化に直面している」と懸念。エレクトロニクス部門が「収益の下方圧力にさらされている」と、問題の本質を喝破していた。