日本百貨店協会が17日に発表した平成25年の全国百貨店売上高は前年比1・2%増の6兆2171億4千億円で、平成9年以来16年ぶりにプラスとなった。店舗数、面積ともに前年を下回るなか、景気回復による消費拡大が追い風となった。既存店売上高も同1・6%増となり2年連続のプラスだった。
6月に松坂屋銀座店が閉店するなど店舗数は24年の249店から242店に7店減少。12月時点の売り場面積も前年同月比1・4%減となるなかでの売上増に、井出陽一郎専務理事は「東日本大震災以降の『良い物を長く使う』という消費マインドにくわえ、アベノミクスによる円安株高や先行きへの期待感が追い風になった」と分析した。
商品別(既存店ベース)では高額時計などの売れ行きが好調だった美術・宝飾・貴金属が15・5%増と全体をけん引。主力の衣料品も0・2%増と前年を上回った。昨年初めて1千万人を突破した訪日外国人の消費も好調を後押し。主要百貨店の免税取り扱い高は384億円で前年比91・6%増とほぼ倍増した。
一方、大型店の改装や増床が相次いだ東京が3・5%増。名古屋、大阪などを含めた主要10都市も3%増だったが、地方店は1%減で景気回復の波及効果が都心店に留まっていることも浮き彫りとなった。4月の消費税増税を前に大手は、駆け込み需要を取りこぼさないよう春夏商材の販売前倒しなどに力を入れている。増税後には反動減で消費が冷え込むことも想定され、好調を継続するための商品施策や外国人向けの取り組みが重要になりそうだ。
25年12月の既存店売上高はボーナスを増額した企業が増えたこともあり、前年同月比1・7%増で2カ月連続増だった。