放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)は8日、昨年7月の参院選前に特定の候補を集中的に取り上げた関西テレビ(大阪市)とテレビ熊本(熊本市)の2番組について、「選挙における公平・公正実現への意識が不十分だった」として、放送倫理違反を指摘する意見を出した。
意見書によると、関西テレビは参院選公示前の昨年6月10日、報道番組「スーパーニュースアンカー」でネット選挙解禁を約10分にわたって特集。ネット選挙の解説に加え、比例代表の立候補予定者1人の取り組みを約2分、インタビューなどで取り上げた。
委員会は「公示日1カ月前を切った時期に特定の立候補予定者のみを取り上げたことは、選挙の事前運動に類似する効果をもたらした」と指摘した。
また、テレビ熊本は投開票日の同年7月21日、フジテレビ制作のバラエティー番組「百識王」をフジから購入し、約3カ月遅れで放送。手帳の活用法などを特集した番組には比例代表の立候補者が約2分、VTR出演していた。
委員会は「政治的メッセージはない番組とはいえ、候補者を肯定的に紹介している点で公平・公正が害される恐れがある」として、放送前のチェック体制の甘さなどを問題視した。