【回顧 関西経済2013(5)】
日本の証券界の歴史に刻まれる大きな出来事があった。大阪と東京の証券取引所が経営統合して、持ち株会社の日本取引所グループ(JPX)が今年1月に発足。東証と大証の現物株市場が一本化された。株式や商品先物を一元的に取引できる「総合取引所」を目指して動き始めた初年といえる。
統合の背景にあったのは、世界の主要取引所との競争に遅れまいとする危機感にほかならない。統合によって、まず実現できたのは規模の拡大による信用力の向上だ。大証から約千社を譲り受け、東証の上場企業数は3400社超に膨らみ、売買代金でみると、上海証券取引所と深セン証券取引所を抜きアジアで第1位。世界では、ニューヨーク証券取引所、ナスダックに次いで第3位に浮上した。
平成25年の新規株式公開(IPO)は前年よりも10社増えて58社と、19年以来6年ぶりに50社を超える。来年は今年を上回る上場が期待されている。ただこれは安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」と世界経済の回復が追い風になっているためだ。東証と大証の経営統合との効果はまだ発揮されていない。