石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーの一色誠一社長は19日、産経新聞の取材に対し「究極のエコカー」とされる燃料電池車(FCV)の本格普及が始まる2015年までに、水素ステーションを全国で40カ所程度設置することを検討している、と明らかにした。実現すれば、石油元売り、ガス会社などが全体目標として設置を目指す100カ所程度の4割を占めることになる。国内のガソリン需要が低迷する中、自動車の燃料の多様化に対応したい考えだ。
政府が昨年、関連法などを改正して立地規制を緩めたことに伴い、JXは今年4~5月、神奈川県海老名市と名古屋市にガソリンスタンドと一体型の水素ステーションを開設した。実証実験を通じて運営ノウハウを蓄積し、事業展開に役立てる方針で、一色社長は「すでに計10カ所の具体的な計画があり、来年にも建設に着手していく」と語った。
「1カ所の設備の費用に5~6億円かかり、コストダウンが課題となる。FCVの普及スピードとの兼ね合いで、ビジネスとして成立するか考える」としながらも、「国のエネルギー基本計画案でも水素は明確に位置づけられ、次世代エネルギーへの後押しがかなり強くなっている」と期待感を示した。
水素ステーションをめぐっては、LPガス最大手の岩谷産業も全国に20カ所の設置を目標に掲げている。