航海中の船舶に周辺の船の位置や針路などを知らせる「自動船舶識別装置(AIS)システム」に、市販の無線機とパソコンで偽情報を送信できることを、ソフト開発会社「トレンドマイクロ」(東京)が実証実験で証明したことが18日、分かった。船のカーナビともいえるAISへの意図的な誤情報送信の成功は世界初。船舶を標的に、航路を狂わせるサイバーテロの危険性が指摘される。
国土交通省海事局などによると、AISは、海上人命安全(SOLAS)条約で海外の港を行き来する全旅客船などに設置が義務づけられ、世界で推定約40万隻に搭載されている。
実証実験は、ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」を開発・販売するトレンド社所属の技術者が実施した。AISは、特定の周波数の電波による信号を約40キロメートル以内の他船と送り合い、周辺の船舶の名称や種類、位置、針路の情報を送受信する仕組みで、海上保安庁が送信する船の遭難情報も受信できる。