【ワイン友遊】デビッド・ピアソンさん(上)オーパス・ワン・ワイナリーCEO (1/2ページ)

2013.12.2 05:00

 ■販売代理人制度を改め市場拡大

 オーパス・ワンは、1978年、ワイン業界の偉大な2人の男、フィリップ・ロートシルト男爵とロバート・モンダヴィの共同事業でスタートした。男爵はボルドーメドック格付け第一級のシャトー・ムートン・ロートシルトを所有するフランス・ワインの重鎮、モンダヴィはカリフォルニアのテロワールを知り尽くしたカリフォルニア・ワインの第一人者だった。2人の巨人が目指したのは、カリフォルニアでフランス型の赤ワインを造り、アメリカ初のグランクリュ・ワインを創ることだった。

 2004年、デビッド・ピアソンがオーパス・ワン初の単独CEOに抜擢(ばってき)された。ピアソンに白羽の矢が立ったのは、フランスとカリフォルニア双方のワインに造詣が深く、ワイン醸造の研究分野にも優れ、国際ビジネスにたけていたからだった。

 同じ年、モンダヴィを買収したコンステレーション・ブランドにオーパス・ワンの50%の所有権が移行したとき、その行く末が心配されたが杞憂(きゆう)だった。88年に亡くなった男爵の後を継いだ娘のフィリピーヌとピアソンが交わした合意書で、ロートシルトとコンステレーションは、経営、ブドウ畑、販売の主要分野でオーパス・ワン事業の独立性を認めたのだ。

 創始者2人の魂を引き継いで成功させる使命を帯びて悩んだピアソンは、ジム・コリンズの著書「Built to Last」(邦題=ビジョナリー・カンパニー-時代を超える生存の原則)の中にその答えを見つけた。その本には、ビジョンを持つ企業は継承と革新の両方に柔軟性があるが基本理念が揺るぐことはないとあった。

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