JR西日本は20日、列車が衝突、脱線した場合などに周囲の列車を自動的に止める「異常挙動検知システム」を導入すると発表した。平成17年のJR福知山線脱線事故を受けて開発。26年春から北陸線に投入される新車両から導入し、今後10年かけて電車と気動車の全車両(約3500両)に配備する方針。全車両への導入は全国で初めて。
JR西によると、これまでは脱線事故などが起きた場合、周囲の列車に危険を知らせる「緊急列車防護装置(TE)」を乗務員が作動させる必要があった。
新しいシステムでは全車両に2カ所ずつ揺れの大きさなどを検知する装置を設置。事故の衝撃を感知すると自動的に「TE」を作動させるようにした。乗務員が負傷するなどして、TEを操作できないような状況でも、確実に列車を止められるのが特徴という。
同様のシステムはJR東日本でも一部車両で導入されているが、JR西では全車両に導入することで、中間車両だけが脱線した23年5月のJR石勝線脱線火災事故(北海道)のようなケースでも、確実に列車を止め、周囲に異常を知らせることができるという。