経団連のシンクタンク「21世紀政策研究所」は14日、将来の原発事故に備え、電力各社の共済制度「原子力事業者間事故時相互扶助制度」の創設を柱とする政策提言を発表した。事故発生時に電力各社から総額2兆~4兆円の賠償額を徴収する仕組み。電力会社が無限責任を負う現在の原子力損害賠償制度の欠点を解消できるという。
新制度では、損害保険でまかなえる原発事故の賠償額として1200億円を想定し、それを上回る大規模災害が発生した場合、電力各社から原発の保有数に応じて2兆~4兆円を上限とする賠償額を徴収する。賠償額が膨らんだ場合は、国と電力各社が協力して資金を出し合うことなどを検討する。現在の制度では、事故を起こした電力会社が賠償額を青天井に負担しなければならず、安定供給に支障が出る可能性が指摘されている。同研究所の沢昭裕研究主幹は「共済制度では原発の安全運転を相互にチェックするようになり、賠償負担が嫌であれば廃炉を進めるようになる」と話した。