■相手に響く言葉を考えて作る
グラフィックデザイナーとしてキャリアを積んでいた中野貴史さんは、畑違いの営業担当となったことが転機となった。悩んでいたころに作ったオリジナルの名刺が、現在の「しゃべる名刺『言霊名刺』」に発展する。言霊名刺によって人生が変わった人も多いという。名刺の可能性や効果的な活用法を聞いた。
--自ら名刺を作った契機は
「勤めていた会社で30代後半に新規開拓営業を担当したことです。大阪から土地勘のない東京に来て、営業経験もなく会話が得意でもなかったので、初対面の人に何を話せばいいか分からない。名刺は単に『営業』という肩書だけで、何の営業かうまく伝わらない。そこで肩書を『販促ツールプランナー』に変えた名刺を作りました」
--言霊名刺に発展したのは
「最初の頃、異業種交流会などに参加したものの、素の自分を出せず、営業もうまくいきませんでした。そんなとき、ある会合で3分間スピーチという場がありました。精神的に追い詰められていたのか、つい関西弁で『大阪から出てきてんねんけど、このまんまじゃどうにもあきません』と話したところ、なぜか受けて、次々と名刺交換をしたいと言って寄ってくるのです。自分を飾らず、本音で接した方が伝わるのだと確信し、相手に響く言葉は何かを考えて名刺を作るようになりました」
--ネーミングの経緯は
「言葉は人を助け、ときには命を奪うことさえある。そんな強力な力を引き出し、ビジネスに生かそうと思ったことが由来です。言霊名刺は名前はもちろん職業や肩書、仕事内容など自分が持っているものの全てを語ってくれる頼もしい存在です」(ライター 金田雄一)=月~水曜日掲載
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(編集協力)近代セールス(www.kindai-sales.co.jp)
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