2013.11.5 06:00
光照射によって液化、固化する塗料のイメージ【拡大】
傷ついた自動車の車体に紫外線を当てるだけで塗装が元通りになり、何十万円もかかる塗装の修理代を支払う必要がなくなる-。
独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が進めている研究開発は、こんな未来の新型塗料の商品化に応用できる可能性を秘めており、成果が期待されている。
産総研のナノシステム研究部門は、紫外線を当てると分子の形状が変化して固体が液体になり、さらに可視光線を照射すれば再び固体に戻る性質を持つ物質を開発した。キシリトールのような甘味料などに使われる糖アルコールの分子1に対し、6つの石油系色素(アゾベンゼン)を組み合わせたという。
この物質を使ってガラスを張り合わせる接着剤として実験したところ、固体状態だと市販されている両面テープ程度の接着強度を持ち、紫外線を約3分照射すると液体になって接着面が容易に剥がせることが分かった。