1000店以上を全国展開する老舗のファストフード大手が、新業態の店舗で客層の拡大に挑んでいる。吉野家ホールディングス(HD)傘下の牛丼チェーン吉野家は「1人で食べられる鍋料理」の専門店、日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は「持ち帰り専門の空揚げ店」をそれぞれ今秋、東京都内に開いた。
2008年秋のリーマン・ショック以降、伸び率でみると売上高が客数を下回る傾向が業界全体で続いている。収益力の低下に危機感を強める両社は従来の店舗では呼び込みにくかった客層やニーズをつかみ、新たな収益源に育てたい考えだ。
1人鍋、持ち帰り専門
東京メトロと都営地下鉄の神保町駅(千代田区)近くに9月26日、吉野家の既存店を改装した「いちなべ家」1号店がオープンした。基本メニューは「牛すき鍋」「豆乳鍋」「ちゃんこ鍋」(780~830円)など7種。20余りのカウンター席のテーブルにはIH(電磁)ヒーターが埋め込まれ、1人前の鍋料理を自分の好みで煮て食べられる。