金融庁は11日、老後資金を積み立てる会員制サービス「いつかはゆかし」を展開する投資助言会社「アブラハム・プライベートバンク」(東京都港区)に対し、無登録で金融商品の販売や勧誘などを行い、金融商品取引法に違反したとして、解約業務を除く全業務を同日から2014年4月10日まで6カ月間停止するよう命じた。同時に、再発防止策などの報告を求める業務改善命令も出した。
投資助言会社は通常、複数のファンド商品の中から顧客に適した商品を紹介して報酬を得るが、同社は特定のファンドを顧客に勧めて販売。親会社が海外子会社を通じてファンド側から商品の販売手数料を受け取っていながら、アブラハムは受け取っていないとする虚偽の説明をホームページに掲載していた。
金融庁は、アブラハムの行為が事実上、金融商品の販売・勧誘にあたるとみなし、受け取っていた報酬も実質的には販売手数料だと認定した。
同社は有名俳優を起用した宣伝などで事業を伸ばし、金融庁などによると約2800人が合計約170億円を投資している。証券取引等監視委員会が3日、同社を行政処分するよう勧告していた。
同社は「処分を厳粛に受け止め、早急にサービス提供体制を再構築する」としている。