住友商事は大阪大学の堀池寛教授らと「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」と呼ばれる次世代がん治療で病院に設置可能な治療装置を開発したと発表した。住友商事は、同装置の独占販売権を保有し、日本や欧米の医療機関向けに販売することで医療機器販売に本格参入する。
阪大が開発した装置は、放射線による被曝(ひばく)を従来のBNCTの10分の1ほど減らせ、副作用を大幅に抑制できるという。2016年にも臨床試験(治験)を始め、早期の実用化を目指す。
BNCTは、がん細胞だけに集まるホウ素薬剤を投与、患部に中性子を当てるとホウ素と中性子が反応し、がん細胞だけを破壊する仕組み。周囲の正常な細胞を破壊し、患者の負担が重い放射線治療に代わるものとして注目される。
これまでは原子炉を使った方式などで治療人数などに制約があったが、今回の開発で普及が見込まれる。装置は30~50億円程度を見込んでいる。