総合電機メーカーが、電力を効率的に供給するスマートグリッド(次世代送電網)事業を加速している。三菱電機は自社の工場を使った大規模な実証試験で実用化に取り組む。東芝は欧州のシステム開発会社を買収するなど体制を強化。日立製作所はロシアなど海外での展開を進める。スマートグリッドは世界的な潮流であるスマートコミュニティー(環境配慮型都市)の中核。成長分野をめぐって、各社がしのぎを削る。
三菱電機が実証試験
甲子園球場約8.5個分に相当する33万平方メートルの広大な敷地を擁する三菱電機の尼崎地区(兵庫県)。同社の技術と頭脳を集めた最先端の生産基地にある工場や研究所の建屋の屋根に、4000キロワット分の太陽光パネルがぎっしりと敷き詰められている。
一般家庭約1000軒分の消費電力を賄う太陽光パネルは2万枚。ここでは再生可能エネルギーの普及を見込み、2020年の送配電網を想定した設備が構築され、スマートグリッドの実証試験が展開されている。