鉄鋼大手各社と国内の自動車や電機など顧客企業との間で行われていた鋼材価格交渉が2年ぶりとなる値上げでほぼ決着した。鉄鋼各社はそれぞれ今年度の増益予想を発表したものの、中国の鉄鋼業界による過剰供給を背景に低迷している国際市況が改善に向かう見通しは立っておらず、先行きは楽観できない。
値上げで収益確保
今年度上期(4~9月)の自動車用鋼板価格については、新日鉄住金とトヨタ自動車が、昨年度下期に比べ、1トン当たり1万円程度(約1割)とみられる値上げで7月下旬に合意。この水準を参考に、他の鉄鋼各社と自動車、電機各社などとの間の交渉も決着しつつある。
日本鉄鋼連盟の友野宏会長(新日鉄住金社長)は鋼板価格交渉について、鉄鉱石や原料炭など鉄鋼原料価格が上昇していることを説明。「合理化努力で追いつかない部分は値上げをお願いせざるを得ない」「自動車の車体軽量化や海外拠点への安定供給といった貢献を含めて、総合的に(値上げを)お願いする」などと語り、製品価格への転嫁に理解を求めていた。