日本鉄鋼連盟などは6日、鉄鋼生産の過程で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を業界全体で30%削減する技術開発と実用化を目指すプロジェクト「COURSE(コース)50」について、2015年度までに新日鉄住金の君津製鉄所(千葉県君津市)に10立方メートル規模の試験高炉を建設し、昨年までの5年間に手がけた要素技術の総合的な実証実験を行うと発表した。
17年度をめどに、炭素の代わりに水素を使って鉄鉱石を還元する「水素還元」の効果を最大化する技術や、高炉から発生したCO2の分離・回収コストを1トン当たり2000円に抑える技術の確立を目指す。
通常の製鉄過程では、鉄鉱石中の鉄分に化合した酸素を取り除くために、石炭を蒸し焼きにしたコークス中の炭素を使っているが、これがCO2排出の原因となる。
また、CO2の一般的な回収コストは1トン当たり約4000円と、目標の倍程度かかるという。
「COURSE50」は、新日鉄住金やJFEスチールなどの鉄鋼大手と鉄連が08年度から共同で進めているプロジェクト。鉄鋼業界のCO2排出量が国内製造業全体の排出量の約4割を占めることから、製鉄プロセスで発生するCO2の削減技術を30年までに実用化し、50年までに普及させて、業界全体のCO2排出量を30%削減することを目指している。