事業者に躊躇ムード
ただ、事業者側には統一基準の導入に躊躇(ちゅうちょ)するムードも漂う。携帯大手のある幹部は「消費者の目線をとことん優先するなら、電池の持続時間の算出方法も統一する必要があるといった具合に、やり出したら切りがない」と漏らす。
また携帯電話のネットワークは、1つの基地局内で同時に利用している人数の多寡によって通信速度が変化する「生もの」(NTTドコモの加藤薫社長)という実情もある。同じ条件の下で燃費や耐久性などを比較できる自動車とは違い、基準を統一したとしても「現実には『公平な実測』は不可能」(大手幹部)という指摘も少なくない。
もっとも、サービス内容のレベルを測る各社の算定基準が「ブラックボックス」化し、実態を比較できない状況が続けば消費者の信用を得ることはできない。総務省がまとめる統一基準に沿ってガイドラインを自主的に策定するなど、業界側の真摯(しんし)な対応が求められそうだ。(渡部一実)