日清食品ホールディングスの橋本涼子さんは、この3月から香港日清で働いている。入社6年目で同社ではデザイナーとして初めての海外駐在だ。美大の多くの同級生が広告代理店やデザイン製作会社などを志望するなか、グローバルブランドのメーカーで仕事したいと夢みた。
食に関心の強い彼女はカップヌードルを舞台にしたいと思った。しかし卒業時にデザイナー職の募集はなかったので総合職で入り、デザイン部署への転籍を図った。
積極的に自分の道を切り開いてきた女性である。
「香港にはパッケージデザイナーは少ないし、シズル写真を撮影する良いカメラマンもいない。ないない尽くしの中で、香港人の同僚デザイナーとゼロからやらなくてはいけないことが多過ぎて…」と悪戦苦闘ぶりを橋本さんは語る。
カップヌードルについては東京本社の約10人のデザイナーが世界各地のパッケージデザインを手掛けてきた。馴染のないタイ語の字体のロゴも、東京から何度も現地に足を運びカタチや隙間を調整して実現した。だが中国市場にはもっと現地密着型で立ち向かうことになった。