神戸製鋼所は29日、平成28年3月期まで3年間の中期経営計画を発表し、30年3月期をめどとする神戸製鉄所(神戸市)の高炉休止を含めた鋼材事業の構造改革などについて発表した。高炉は加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に集約し、合理化によって最適な生産体制の構築を図る。鉄鋼業界では新日鉄住金も君津製鉄所の高炉1基を休止する方針を明らかにしており、国内鉄鋼メーカーの生産体制見直しは不可欠な状況だ。
同日、会見した川崎博也社長は、中計について「経営基盤の再構築の期間」として、29年3月期以降の「中長期的な収益安定と事業成長のための布石を打つ期間」と位置づけた。そのため、25年3月期まで2年連続で経常赤字の鉄鋼事業部門について、設備投資やコスト削減などにより、26年3月期で300億円、28年3月期でさらに300億円の収益改善を見込む。
神戸製鉄所の高炉廃止は30年3月期以降に効果が出てくる形だが、設備集約などにより、年間150億円以上の効果を上げるという。同製鉄所で働く約380人の人員については「加古川製鉄所や他事業部門への配転、採用での自然減などで充当する」とし、人員削減策は取らない方針だ。
同社が強みを持つ機械系事業の部門で事業拡大を図るほか、安定収益基盤確保のために、グループの神鋼神戸発電が行っている石炭火力発電などの電力供給事業を拡大する方針。川崎社長は「神戸製鉄所の高炉跡地の活用についても電力供給事業を検討する」と明らかにした。