文化学園は27日、昨年秋に廃業を決めた老舗テキスタイルメーカー、みやしん(東京都八王子市)の工場施設などを買い取り、「文化・ファッションテキスタイル研究所」を開所した。江戸時代から繊維産業で栄えた八王子に根付く伝統織物技術の継承や若手人材の育成などに役立てる。
みやしん元社長の宮本英治氏が同所長に就任。工場にある15台の織機や1万点以上にのぼる織物などがそのまま資料や教材として受け継がれる。伝統技術の維持とともに、文化学園で学ぶデザイナーやアパレルメーカー志望の学生たちの教育の場として再出発する。
みやしんは、日本のテキスタイルメーカーを代表する織元で「イッセイミヤケ」「まとふ」などの世界的ブランドに生地を提供してきた。しかし、安価な海外製品の流入に加え、国内メーカーの海外生産シフトにより長年にわたり不安定な経営を余儀なくされ、昨年10月に宮本氏が廃業を決意。長年親交のあった文化学園が高度な技術とノウハウを次世代に受け継ごうと買い取ることになった。
文化学園の大沼淳理事長は研究所の開所にあたり、「みやしんが築いてきた世界一の織物技術を守るとともに、新たなテキスタイルを世界に向けて発信する拠点にしたい」と話した。