来年4月に予定される消費税率引き上げへの対応をめぐり、1円刻みの運賃を導入するかどうかで鉄道会社の対応が分かれている。
首都圏ではJR東日本などがIC乗車券に限った導入に前向きなのに対し、他の地域は消極姿勢が目立つ。首都圏のIC利用率が突出して高く、券売機の切符と運賃に差が生じても、利用者の不満が少ないとみられることが温度差につながっている。
「きめ細かく、ある意味平等に(増税分を)転嫁できるので望ましい」。JR東日本の冨田哲郎社長は1円刻みの導入メリットをこう説明する。ICでの導入はシステムの大がかりな変更を伴わず、費用があまりかからないことも前向きな理由だ。
一方、1円玉が使えない券売機は入れ替えが必要で、費用がかさむため事実上不可能。「二重運賃」となり、最大数円の差が生じる可能性があるが、首都圏はIC利用率が定期券以外でも8割を超え、利用者を納得させやすい。このため東京メトロと東京急行電鉄も前向きだ。