アベノミクスを背景に急速に進んだ円安で、原材料の輸入価格が上昇した食品業界は、コスト増による苦境の色が濃くなってきた。
5月上旬。駄菓子の定番商品として根強い人気があった、あるスナック菓子が生産を終了した。愛知県の老舗菓子メーカー、いずみ製菓(安城市)が製造する「ポテトスナック」だ。
薄く揚げた丸形の生地に「フライドチキン味」などの風味をつけたお菓子で、4枚入り30円という低価格もあって子供に愛され、昭和63年の発売以来、年間平均約2000万個を販売するヒット商品だった。
しかし、原材料の米国産小麦粉や、マレーシア産の植物油の輸入価格が円安などの影響で高騰。「単価が安いので値上げも難しかった」(管理本部)という。結局、同社は6月末で売上高の約7割を占める菓子事業からの撤退を決めた。