三菱自動車が単体での約9200億円の累積損失を解消するため、資本金と資本準備金の一部を取り崩す方向で検討に入ったことが23日、分かった。2000年と04年に発覚したリコール隠しなどで積み上がった累積損失を一掃し、経営再建を加速させる。
直近の資本金は6573億円、資本準備金は4332億円あり、この一部を取り崩す。会社法の規定で累積損失を抱えている企業は配当ができないため、累積損失を解消して課題だった配当の復活を図る。同社は1999年3月期以来、無配が続いており、益子修社長は4月の決算発表で「今期中に復配のめどをつける」としていた。
13年3月期の連結最終利益は379億円と10年ぶりに過去最高を更新するなど足元の業績は好調だが、毎年の利益で累損を解消するには時間がかかるため減資に踏み切る。
一方で減資によって過小資本に陥らないようにするため、新株発行の上限枠を拡大して増資に備える。いずれも24日の取締役会で決定し、6月末の定時株主総会に議案として諮る。
また、経営危機に陥った際に三菱重工業や三菱商事、三菱東京UFJ銀行などが三菱自動車から引き受けた約6000億円の「優先株」(現在は約3800億円)の処理方法は今後、保有企業と協議する。