2013.5.9 05:00
造船重機大手5社の2013年3月期連結決算が8日、出そろった。最終利益は、航空事業などが好調だった三菱重工業と川崎重工業、IHIの3社が増益を確保。一方、受注環境の悪化を背景に、船舶事業で特別損失を計上した三井造船が11年ぶりの最終赤字に転落し、住友重機械工業も減益となった。
三菱重工業の営業利益は前期比46.1%増の1635億円、最終利益は前期の約4倍の973億円で、いずれも過去最高だった1997年3月期に迫る高水準となった。牽引(けんいん)したのは航空・宇宙部門だ。米ボーイング向け部品などが伸び、営業利益ベースで5年ぶりに黒字に転換した。
IHIは航空機エンジンは堅調だったが、船舶用クレーンなどが苦戦。ただ、税金費用の減少で、最終利益は連結ベースでの発表を始めた78年3月期以降で最大となる333億円だった。
川崎重工業も稼ぎ頭の建設機械用油圧機器が中国の景気減速で落ち込んだものの、最終利益は32.3%増の308億円を確保した。
苦戦が際立ったのが、船舶事業が売上高の半分を占める三井造船だ。リーマン・ショック後の世界的な受注減と中韓勢との競争で採算が悪化。国内造船所の減損処理で特別損失を計上し、82億円の最終赤字(前期は178億円の黒字)になった。
住友重機械工業も船舶事業で特別損失を出し、最終利益は69.9%減の58億円だった。
三井造船と住友重機械工業は14年3月期の営業利益も減益を見込む。円安は日本勢に追い風だが、「残念ながら船価は上昇の兆しがない」(住友重機械工業の鈴木英夫財務経理本部長)ためだ。
三井造船は川崎重工業との統合を検討しており、今後、業界再編が起こる可能性も残っている。