森下仁丹は、独自保有するビフィズス菌株が作り出す多糖類「BPS」の物質機能について研究を進めた結果、傷を治す効果があると分かったとし、今年3月、製法と成果に関する特許を出願した。BPSは肌に塗ると保湿作用があることから、2006年から自社の化粧品材料の一つとして活用中だ。今後、研究を進め、治療用素材や医薬品への実用化を目指す方針。
森下仁丹はビフィズス菌含有カプセル剤「ビフィーナ」が主力製品の1つで、乳酸菌類健康食品部門のシェア1位を獲得。製品開発の一環としてビフィズス菌研究を進めており、独自保有するビフィズス菌株からBPSを発見した。肌への高い保湿作用を前面に押し出し、化粧水などでは保湿成分として配合するほか、化粧品メーカーへ外販も行っている。
京都大学や大阪府立大などと共同で研究開発を進める中で、マウスを使い、創傷治癒に関する試験を実施した。BPSを混ぜた生理食塩水をマウスの傷に塗ると、生理食塩水のみを塗布した傷と比べ、治りが早くなって傷痕も目立たなかったという。製品応用を視野に、BPSとその誘導体の製法と創傷治癒剤について特許を出願した。
同社は絆創膏など薬事法上、一般医療機器に該当する医療パットを販売中だ。今後の応用先として「BPSを使った医療パットや医薬品に相当する塗り薬などがあるかもしれない。剤形や実用化含め検討中」という。