【ワン・ソニーの行方】(1)
トランジスタラジオや平面ブラウン管テレビ、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」など数々のヒット商品を生み出してきたソニー。その「復活」に向けて、部門の垣根を越えて連携する「ワン・ソニー」を掲げる平井一夫社長が就任し、4月1日で丸1年を迎える。
ライバルの米アップルや韓国サムスン電子とは対照的にここ数年はヒット商品が不在で、2012年3月期には過去最悪の最終赤字を計上した。携帯端末、ゲーム、映像機器を中核に据え構造改革を進める平井体制の下、ソニーは再び輝くことができるのか。
ヒット商品なき苦境
「危機的状況のなか、どう復活していくのか。考えてほしい」。就任から1カ月がたった昨年5月、ブラジルのサンパウロ。平井社長は販売会社の従業員数百人を前にこう訴えた。