2013.3.31 06:00
デジカメ以降、日本のメーカーが世界のトレンドリーダーになり、韓国メーカーが追うという構図になっている。日本にメーカー数が多く、ユーザーの新技術への反応が早いことが理由に挙げられる。だからではないが、アジアのブームが欧州に必ずしもすぐやってこないこともある。
「当社がチェキと呼ぶインスタントカメラは、韓国で火がつき、中国に飛び火し、日本その他のアジア諸国で若い女性を中心にブーム化しています。またミラーレスと呼ばれる小型交換レンズカメラは日本の『カメラ女子』に支持されていますが、今のところ他国にはそこまで広がっていません」
携帯カメラのブームは日本の写メールからだが、欧州での市民権はやはりスマホ以降だ。カメラとしての性能が格段に良くなったからだ。それゆえに、逆に先進国発信で途上国がフォローするという流れが変わる兆候も見え始めている。カメラ単体の経験なしにスマホが最初の写真経験というユーザーも出てきている。
以上の状況の大まかな把握のうえでイタリアに話を戻すと、黒瀬さんはこう語る。
「他の欧州国と比べても、新しいコンセプトの普及には時間が余計にかかります。地域密着型の小売店が多く、量販店主体の米国や英仏のように本部方針だけで一気に新製品が広がるという形が起きづらいのです」