震災以降、企業の備蓄への意識が高まるなか、菓子業界には追い風が吹いている。ビスコのほかにも、ナビスコの「リッツ」、ロッテの「コアラのマーチ」など、大手各社は定番商品の賞味期限を5年に延ばした保存缶が大ヒット。昨年には明治が「マクビティビスケット」、ブルボンが「プチクマビスケット」の保存缶をそれぞれ発売するなど新規参入も相次ぎ、競争は白熱している。「調理せずにおいしく食べられる保存食として、菓子類のニーズは高まっている」(グリコ)という。
同条例の施行で、賞味期限が切れた後の買い替えも必要になり、安定した商品の更新需要が見込めるのも大きな魅力だ。
一方で、震災後に被災地での食事の栄養不足が問題視されるようになったことを受け、栄養バランスに着目した商品開発も活発化している。カゴメは賞味期限を従来品の1.5倍の3年に延長した「野菜一日これ一本」190グラム缶を2月末から販売。伊藤園も昨秋から「充実野菜」の期限を2年に延長したところ、12年の売り上げは前年比で約2倍に拡大した。