昭和電工が参入を計画しているブタジエンは、低燃費タイヤ向け合成ゴムなどに使われる石化製品。ナフサ精製の副生物として抽出されるB-B留分からつくるが、B-B留分はエタンが主成分のシェールガスからはほとんど抽出できない。このまま放置すれば、将来ブタジエンが足りなくなるのは火を見るより明らかだ。
昭和電工は大分コンビナートで生産している溶剤向け化学品アセトアルデヒドと、エタノールからブタジエンをつくる新製法の開発に着手。現在、採算性を高める生産工程の構築を急いでおり、16年から大分コンビナートに国内シェアの約1割にあたる年産10万トン規模のブタジエン生産設備をつくる計画だ。
アセトアルデヒドはナフサ、シェールガスどちらからでもつくれるエチレンを原料にしているので、枯渇の心配がない。それどころか中国製溶剤が日本に大量に流入している影響で供給過多になっており、昭和電工のアセトアルデヒド設備は稼働率が低迷している。ブタジエン設備が動き出せば、不足が懸念されるブタジエン事業に参入するとともに、アセトアルデヒドの稼働率向上も見込め、大分コンビナートの底上げが図れるメリットがある。