インターネットによる小売り電子商取引(EC)の国内2強、楽天とアマゾン・ドット・コムのせめぎ合いが過熱している。
自社で商品を大量に仕入れ廉価販売をする「直販型」のアマゾンに対し、楽天は中小商店向けの市場をネット上に開設し、出店者から手数料収入を得る「ショッピングモール型」。本来なら相いれない2つのビジネスモデルだが、ここに来て両社が販売や流通の手法で互いの長所を取り入れるなど、経営戦術が交錯してきた。
ベールを脱ぐ
「えっ、出したの!」。今年1月、楽天のEC担当者はパソコン画面の前で思わず声を漏らした。アマゾンが米証券取引委員会に提出した昨年の年次報告書の中で、日本単独の売上高を公表したからだ。
「徹底した秘密主義」(流通関係者)で知られるアマゾンはこれまで、各国での売上高や利益など経営上の数字を開示してこなかった。