シャープが今回出資受け入れを決めた相手は、昨年3月以来交渉を続けてきた台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が長年ライバルに位置づけてきたサムスン電子だ。
背景には、鴻海のほか米インテルなどとも交渉がまとまらない一方で、悪化し続ける財務体質がある。クアルコムに加え、サムスン電子とも手を組むことで、シャープと鴻海との距離間は確実に広がっている。
「シャープと鴻海が一緒にやれば、絶対にサムスンに勝てる」
昨年3月、鴻海の郭台銘会長はそう言って、町田勝彦相談役の手を取った。郭会長が、シャープ本体と堺工場を合わせ千億円を超える巨額出資をしてまで提携しようとしたのは、「打倒サムスン」という目的があったからだ。
だが交渉はスムーズには進まなかった。