右肩下がりの時代が続いた百貨店業界が活気づいている。日本百貨店協会がまとめた昨年の全国百貨店売上高が前年比0・3%増(既存店ベース)と、平成8年以来16年ぶりに前年を上回ったからだ。
百貨店各社は20年秋のリーマン・ショック以降、控えてきたリニューアル(改装)に踏み切り、集客効果に期待をかける。ただ、地方の百貨店の相次ぐ閉店のほか、ショッピングセンター(SC)との競争は激しくなる一方で、生き残りをかけた崖っぷちの戦いが続く。
改装効果で増収
6日に改装後の全面オープンを控える伊勢丹新宿本店。2月13日の説明会で、業界最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長は「他では体験できない、ワクワクする空間を演出できた」と自信をのぞかせた。
改装のテーマは「世界最高のファッションミュージアム」。本館2~4階の婦人服・雑貨売り場に「パーク」と呼ばれる空間を設け、顧客が繰り返し来店したくなるように最先端の生活スタイルを発信する。パークの設置で本館の商品スペースは約1割減るが、客数や客単価を増やすことで増収を狙う。