韓国の大手鉄鋼メーカーのポスコが三重県四日市市に、日本の金属加工メーカー2社と合弁で、自動車部品向けのパイプや鋼管の製造設備を新設することが18日、分かった。稼働開始は来年1月の予定。鋼管を日本国内で製造・出荷できる体制を整えることにより、自動車部品メーカーへの販路を確保するのが狙いとみられ、日本の鉄鋼メーカーとの競合が強まりそうだ。
ポスコは日本国内に物流拠点や加工センターを持つが、鉄鋼製品の本格的な製造拠点は初めてとなる。
ポスコの加工センターなどがある四日市工場に、新たに自動車用鋼管の製造設備を建設する計画で、年間生産量は約1万トンを見込んでいる。ポスコが韓国で製造した鋼板を輸入して日本国内でパイプ状に加工し、出荷する態勢を整える。
日本法人のポスコジャパンによると、投資額は約6億5000万円で、金属加工メーカーのモリ工業とマルヤス工業(名古屋市)も出資し、新会社を設立した。
日本は韓国の鉄鋼製品を昨年は約309万トンを輸入している。輸入量全体の約7割を占め、価格の安さから年々数量が増えている。
ポスコは品質向上に力を入れており、日本国内での製造拠点の設置は「日本企業との合弁や日本の自動車メーカーの厳しい要求を通じ、技術レベルの引き上げや長期的な関係の強化につなげる」(国内鉄鋼大手)ことが目的とみられる。
ポスコはすでに、日本国内に自動車用鋼板などの加工センターや物流拠点を持ち、トヨタ自動車などへの食い込みを図っている。日本の鉄鋼メーカーのお家芸とされてきた軽量・高強度の自動車用鋼板でも「ポスコの品質、技術面での追い上げはすさまじく、日本メーカーにとっては大きな脅威」(同)となっている。
ポスコが日本の鉄鋼各社の“牙城”だった国内自動車分野への攻勢を一段と強めたことで、日本メーカーとの激しい顧客争奪戦が繰り広げられる可能性がある。