資本提携している大王製紙と北越紀州製紙の関係に亀裂が生じている。両社が技術提携について発表する前に、大王の関連会社が北越紀州の株式を買い進めていたことが判明したのがきっかけだ。北越紀州は「法令順守上の懸念がある」として、株式の取得目的や経緯を問う質問状を送ったものの、大王側は「問題はなかった」と反論し、対立が深まっている。
北越紀州が問題視しているのは、大王が子会社と合わせて株式38%を保有し、大王幹部が取締役に就いている川崎紙運輸(川崎市)が、2012年7月から北越紀州の株式を断続的に買い進め、約2%を取得したことだ。大王と北越紀州の両社は同年11月に技術提携をしたが、提携交渉中に川崎紙運輸が株式を取得したことが判明したため、北越紀州が質問状を送った。
これに対し、大王は弁護士による内部調査の結果を踏まえ、「川崎紙運輸が独自の判断で、北越紀州との交渉内容を知らずに取得した」と判断し、「違法性はなかった」と回答した。