【再挑戦】ホンダ「N BOX」(下)常務執行役員 峯川尚さん
販売変えた復権の本気度
開発チームが競争力の高い軽自動車「N BOX」を開発していることは、海外にいるときから知っていた。だが、いくら良いクルマでも売れなければ意味がない。「販売も進化しなければ」。常務執行役員で日本営業本部長の峯川尚(58)は、販売店に軽をいかに売ってもらうか、頭を悩ませる毎日を送っていた。
ブラジル子会社社長から日本営業本部長に転じたのは、東日本大震災直後の2011年4月。ブラジル以前にもニュージーランド、中国と渡り歩き、国内勤務は13年ぶりだった。だが、気合を入れて販売店を回るが、反応ははかばかしくない。期待の「N BOX」の発売を年末に控えていたが、「懸命に説明しても販売店に響かなかった」。
理由は分かっていた。大震災直後に日本全体を覆った形容しがたい停滞感。これも理由の一つだったが、何より大きかったのは、ホンダがこれまで軽に力を入れたことがなかったことだった。