「保守的」といわれていたトヨタ自動車が変貌を遂げている。豊田章男社長がトップに就任して約3年半、社内外に「いいクルマ、楽しいクルマを作る」と原点回帰の方針を示し続けたことで、販売台数増や収益ばかりに固執していた社内の雰囲気が一変。クルマづくりに軸足を戻し、品質管理やデザイン面などで成果が出ている。昨年は世界販売で再びトップを奪還した“巨艦”トヨタの変化の裏に何があったのか。
ピンク色の衝撃
「リボーン(生まれ変わり)を伝えるにはチャレンジも必要だ」。昨年12月25日、第14代の新型「クラウン」発表会で、豊田社長はトヨタの「変化」ぶりをことさら強調した。
それを示すのが、まず発表会場。東京での新車発表はこれまで、都心のホテルや自社施設がほとんどだったが、今回は若者が集まる複合商業施設「渋谷ヒカリエ」(東京・渋谷)だ。