日本を代表するオフィス街、東京・大手町で、大型オフィスビルの再開発が急速に進んでいる。建設中と今後の計画分を合わせ、今後数年内に延べ床面積約100万平方メートル、東京ドーム21個分のフロアが新たに供給される予定だ。都心では六本木、汐留などの新たなオフィス街との競合が激しくなる中、老舗オフィス街がリニューアルで求心力を取り戻す。(那須慎一)
「古いお客さんも残り、新しいお客さんも増えた。売り上げも好調だ」
大手町のビル街で、昼食用の弁当を売る居酒屋店の店員は、30代のワイシャツ姿の会社員におつりを渡しながらそう話した。大手町の新しいオフィスビル効果を実感しているという。
JR東京駅から徒歩10分圏、地下鉄5路線が乗り入れ交通の便に優れる大手町は、つい最近まで昭和30~40年代の高度経済成長期に建てられた老朽ビルが街の顔だった。そのため、六本木ヒルズに代表される六本木や、汐留、品川といった新興オフィス街の最新ビルに対し、IT(情報技術)設備や省エネ性能などで劣っていた。