菅直人首相(当時)による超法規的な要請を受け、平成23年5月に運転停止に追い込まれた中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)。その後も津波対策工事の追加や工期延長を発表、さらには5号機のトラブル検証が長期化の様相をみせ、再稼働への道筋は見通せない。
しかし防戦一方にみえる中部電があえて持久戦に持ち込んでいるとの指摘もある。工事などが長引く間に地元理解に努め、情勢が好転するのを見極めるというのだ。関電管内をはじめ全国の原発停止ドミノのきっかけとなった浜岡の“急がば回れ戦略”は功を奏すか。
切り札のはずが…
「工期が延期するのは厳しいが、津波対策をやり切ることが再稼働の判断につながる」。24年7月、中部電の水野明久社長は、浜岡の津波対策工事の完了が当初予定より1年遅れて25年末になると発表した。工事完了は再稼働の条件で、これで再稼働は26年以降となることが確定した。