大林組は25日、建設の初期費用やエネルギーなどにかかるコストがいずれも従来方式より3割少ない植物工場を、千葉大学と共同で開発することを明らかにした。2014年3月をめどに製品化を図り、外販に加えて将来的には野菜の栽培・販売を事業化することも視野に入れる。
共同開発では千葉大の拠点に設備を設置し、13年から開発を本格的に進める。具体的には植物の葉にスポット照射することで、全体の照明量を抑制しながら従来と同じ照射量を確保する技術の確立を目指す。さらに、水の循環利用や液体肥料の効率改善を通じてランニングコストを引き下げる。
植物工場は栽培装置の費用が高く、エネルギーを多く使うなど生産コストの高さが普及のネックとなっている。大林組は課題の解決に向け、農林水産省の委託を受けて植物工場の実証事業に取り組んでいる千葉大との連携を決めた。
大林組は、将来的には食品加工メーカーや外食企業などと組み、開発した植物工場プラントを使って野菜栽培の事業化に乗り出すことも検討する。既に事業化を進めている大規模太陽光発電(メガソーラー)と植物工場の連動も想定している。
調査会社の富士経済によると、人工光を使った国内の植物工場は2020年に11年比の3.7倍の1万9000平方メートルに拡大すると見込まれている。