自動車用の材料や部材として炭素繊維の本格採用が始まりそうだ。帝人は今月、米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発した炭素繊維の成形加工時間を大幅に短縮した新製法の量産技術を確立する設備を稼働した。東レや三菱レイヨンはすでに海外の市販車向けに供給を始めているが、帝人の新技術によってコスト低下競争に弾みがつき、量販車への採用も視野に入る。
自動車メーカーは燃費向上のため車体軽量化を進めており、一大市場が誕生する可能性がある。日本勢が世界シェアの約7割を占める炭素繊維が自動車用途で先行できれば、さらなる優位性を確立できそうだ。
加工時間を大幅短縮
「量を考えれば、やはり自動車向け。量販車で採用されれば、(市場の飛躍に向けて)大きな突破口になる」。帝人の担当者はこう強調する。
同社は今月4日、松山事業所(松山市)内で試験装置の稼働を始めた。炭素繊維と樹脂を混合させた材料の連続一貫生産がこれまでの10分の1の、1分以内に抑えられる技術だ。昨年、GMと共同開発したもので、GMが実験を進めた上で、量販車への搭載を検討していく。